教卓から大型画面へ映し出すことにより、移動時間を短縮し授業の質の向上に繋げた
特別支援学校
高等部 化学
菅野智美
教諭
平成二十七年度にアバーの実物投影機を導入
※菅野教諭お手製の梅干しなど、和気あいあいとした授業風景
菅野教諭に聞く!ICT環境について
その場で観察ができる利点!
1ブロックでは、知的に障がいが無く肢体不自由のある生徒が、高等学校に準じた教育
(教科教育)の授業を受けています。大学受験を視野に入れている生徒も数多く、車いす
などの移動時間が無くなることは大幅に授業の質を上げ、効率の良さがアップ!
また、移動中、心臓や肺などに大きな負担になってしまう生徒さんにとってはその場で
観察することが可能になるので、生徒さんの安全面を考慮した授業になることでしょう。
稲田教諭に聞く!これからのICTについて
~書画カメラの利便性は小学部・中学部にも~
生徒の中には車椅子移動等のため行動範囲が限られてしまう生徒もいます。
そのため、草花や生き物に触れ合う経験が少なくなってしまい、実際の被写体に対して
躊躇してしまうことも多いです。そんな時書画カメラを通してワンクッションを置くことにより興味を持って観察することが可能になることでしょう。
見える情報を的確に伝えるためにー視知覚
視力が弱い生徒のためにプリントを拡大して配布する。それを生徒たちが
情報として取り入れているかは疑問があります。私たちは目だけで
見ているのではなく、脳や他の感覚を使って見ているのです。プリントを拡大し、
既に認識している文字(平仮名など)を拡大されても意味がありません。
必要な情報だけを拡大したいのです。
山中の景色の電波塔を認識するのに全てを拡大して映し出すことほど
無意味な作業はないでしょう。それと同時にプリントや見えているもの自体の
書式や全体像も把握することが大事です。そこで書画カメラを道具として
活用していくことは必要な情報だけを拡大するだけでなく、
全体的な流れを確認することが可能になることでしょう。
ここがポイント!
F-seriesのようなヘッドがアームタイプになった書画カメラは、「ここだ」という箇所を拡大するのに適していることは当事例が示した通りです。これは、シャーレの中の生物などを映す場合にも重宝されますし、特に立体物に対しては、側面や裏面に回りこませることも容易です。生徒たちが書画カメラを使う場合においても、カメラヘッド部分を拡大したいところへ自分で持っていくことで、実感の湧く観察活動になると思います。また、当事例においては、障がいを持った生徒一人ひとりの学習ニーズを見極めた上で、書画カメラの機能を活かした使い方がなされていることが印象的です。先生方が、生徒たちの学びの質的向上のために妥協のない指導の工夫をされている様子がうかがえます。書画カメラは、そういった先生方の思いを叶えるツールになり得る可能性を抱えているということが改めて実感できました。
和歌山大学教育学部 附 属 教 育 実 践 総 合 セ ン タ ー 准教授 豊田充崇
※先生がたの所属と肩書きは取材当時のものです。