武川先生がお考えになる書画カメラとは?
- 実物投影機を通して共有することで一体感が生まれる
- 先生が伝えたいことと子どもたちが感じ取ることを繋ぐもの
- 子どもたちが、前のめりになるようなリアル感を出せるもの
- 子どもたちが「発表される」という意識をもって授業に参加⇒受け身から積極的な授業に
実物投影機を使うことによる子どもたちの変化は?
先生が使用する機器に憧れをもっているので、子どもたちが使用することによって自信にもつながるのではないのでしょうか。発表をしたい子どもたちも躊躇してしまう子どもたちも積極的になれることでしょう。
実物投影機を今後授どのように使用していきたいか?
今回は社会科で白地図を見せ合う授業でしたが、今後は小さな石器や星の砂などの肉眼では大勢で見られないような細かいものを見るときに用いたいです。
武川先生の大先輩 熊本先生による実物投影機の効用とは?
長年教師を務めている中で、地形図の等高線を教える時は苦労していました。教師が口頭で説明している線を、子供たちが手元の地図で見つけられないからです。実物投影機を活用することで、等高線は飛躍的にわかりやすくなりました。等高線がよくわかると、地形図の読図は楽しくなります。
AVerの書画カメラを選んだ理由も、解像度が高く、映像がきれいだったからです。
また、良く出来た生徒の文章や図を、その場ですぐ映し出すことが出来るのも、書画カメラの良いところですね。
現在クローズアップされているアクティブ・ラーニングの手法の中にも、「相互批評」をするというのがあります。生徒同士が学習の成果物を見比べる、と言う作業もこれなら簡単にできますね。
敢えて言う!…ベテラン教師が考える教具と授業の関係は?
実物投影機を通して教材を子どもたちに見せるのも良いですが、先生と生徒が同じ地図や資料集を持っているなら、あえて書画カメラで映す必要は無いかもしれません。教師が上手に示す力、生徒が自分の本の上で見つけ出す力を育てることも大事です。大きな図版を持ち机間巡視して一人一人の生徒の目線と興味をグッと惹きつけることも効果的な手法です。
教師が板書することで子どもたちが書き順を覚えたり、構図を工夫しながら図を描いている先生の姿が生徒には良いお手本になったりもします。
教師は授業のディレクターです。どんな授業にしたいか、輪郭をしっかり描いて教具を使うべきです。機械に振り回されず、「主役は子どもたち」と言うことを忘れずに。練り上げられた授業構成の中で使用された書画カメラは、何倍もの効果を生み出すことでしょう。
―熊本 秀子先生―
和歌山大学教職大学院 教授 豊田充崇
中教審答申(平成28年12月)には「日常的にICTを活用できるような環境づくりとともに、学びの質を高めるICTの活用法についての実践的研究と成果の普及が求められる」とありますが、武川先生の授業からは、特にこの“学びの質の高まり”が捉えられます。実物投影機を「受け身から積極的な授業に」と書かれているのがまさにその箇所です。
同答申には、「大型ディスプレイ等を用いて発表したり互いの情報を交流させたりして、他者の感想や意見を基に自分の考えを広げ深める」「1つの問題について複数の児童の解答を大型画面で映し、どのような表現がよいかを考える」というような具体的なICT活用場面についての記述が随所にみられ、これらはすべて「主体的・対話的で深い学び」の実現につなげるためであると示されています。
「深い学び」に至るためには、自己完結的な授業や、知識獲得だけを目指していてはいけません。熊本先生も書かれているように、相互に多様な意見を出し合い、個人の予想や気づきを学級全体のものとすることが必要です。
なお、同答申には、ICT活用が「授業時間の効率的な活用にも質する」といった記述もあり、これは実物投影機の学習効果として一貫して言われてきたことでもあります。いずれにせよ、「あれば便利なツール」ではなく、「学びの質を高めるツール」であるとの共通認識を得た今、「なくてはならない教室備品」としての地位を確立したことは間違いないでしょう。